腰痛 レントゲン、MRIには映らないもの

「腰痛」10の大間違い
③レントゲン、MRIには映らないもの
レントゲン、MRIに映らないもの、何でしょう?
先ず「筋肉」は映りません。それに平面の画像を多方向から映しても立体の状況を把握するのは難しいですし、体の広範囲な歪みなどは判断しにくいです。
この点、「触診」「視診」もすると、レントゲン、MRIでは判らない情報が沢山得られます。
特に「筋肉」の状態は、触ってみれば緊張の様子や左右差、温度、皮膚の手触りなど、非常に細かいことが判ります。また、カラダの「全体」と云うものを見渡せるので、足、腰、背中、首などの関連を見ることで「患部」の置かれている状況を診て取れます。
整形外科で「触診」を受けた方は少ないと思います。「画像」だけで診断をすると病名も限られた病名になってしまいます。正しい「病名」や「原因」を特定する為には、特に「筋肉の触診」もする事が大変重要です。
「筋肉」は必ず両端が、一つ以上の関節を超えて、別な骨に連結しているので、筋肉には骨格の状態が必ず反映されます。経験を積む程に、レントゲン、MRIでは判定出来ない「骨格」の問題点も、筋肉の状態などから診て取れる様になります。
 患者さんの実例です。尻餅をついて腰が痛く身動きも出来なくなり、整形外科でレントゲン、MRIを撮ると、胸椎12番の「圧迫骨折」と診断を受けました。後日、画像を見せて頂きましたが、確かに圧迫骨折の様子が診て取れます。
しかし様子を聴くと、痛いのはそこでは無くて、背骨の一番下の方だと云う事です。
圧迫骨折と診断を受けた胸椎12番は背中の下部から3分の一位の位置ですから、痛い部位から15センチ位離れた場所です。しかし外科での治療は胸椎の「圧迫骨折」を対象としたものになります。
圧迫骨折が痛みの原因じゃ無いですよ!と告げ、実際に骨盤の「仙腸関節」の調整をすると痛みは取れて行きました。当然「圧迫骨折」はそのままの状態ですが。
この例の様に、画像に映るものだけで診断すると、間違いが起きます。そんな患者さんが沢山治療に見えてます。
レントゲン、MRIなどの画像を見ただけでは「いつ」こうなったのか、時間的な特定が出来ません。尻餅をついたその時になったものか、或いはそれ以前からそうなっていたのかは判定できません。
レントゲン、MRIなどの画像だけで診断を受けると、画像に写る圧迫骨折、椎間板ヘルニア、軟骨の減り、すべり症、脊柱管狭窄症などと診断されます。
或いは、画像からは異常が認められないと「異常なし」と診断されます。異常が無いのに「痛い」なら、先ずは痛み止め、神経に麻酔を打つブロック注射。それでも痛いと精神的なものとか、脳が痛みを記憶してるからなどと診断されます。
変形した骨の「画像」を見せられて病名が付くと、その部分を治さない限りはもう良くならないと思って手術をしたり、そして一番の問題は病名を「諦め」の材料にして、患者さん本人が良くなろうと思う「希望」を失ってしまう事です。

2020年5月24日